薬剤師の使命は「薬剤師は、調剤、医薬品の供給その他薬事衛生をつかさどることによって、公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もつて国民の健康な生活を確保するものとする。」（薬剤師法第1条）です。臨床現場で働く薬剤師はその使命を果たすべく、常に患者に寄り添いながら仕事をしています。近年は医療の進歩が目覚ましく、また、非常に多くの情報がもたらされています。臨床現場で観察される疑問点や課題は数多く、薬剤師ばかりでなく、医療従事者はその解決をせまられています。

近年の薬剤師業務は大きく変革し、そのフィールドは病棟へ、在宅へと拡がり、多職種によるチーム医療が進み、薬剤師は臨床現場で大きな役割を担っています。2010年には厚生労働省より、チーム医療の推進に関する検討会の報告として「医療技術の進展とともに薬物療法が高度化しており、チーム医療において、薬剤の専門家である薬剤師が主体的に薬物療法に参加することが、医療安全の確保の観点から非常に有益である。」としています。高度な知識や技能と経験を備えた専門薬剤師制度が整い、各領域で活躍しています。

　そんな中、当研究室では薬学的視点からそのような臨床現場で観察される疑問点や課題を解決することにより、臨床現場に活かすための研究を中心に行っています。そのため、病院や薬局とも連携することにより、個々の集団あるいは大きな集団を対象として臨床研究を行っています。薬学に携わる研究者が本来解決できる医療における課題は数多く存在します。科学的根拠を示すことにより医薬品の適正使用がより推進され、また、個別の事情を抱えた患者の適正使用に貢献し、医療の安心・安全につながるような研究に取り組んでいます。